会長挨拶

この度、第55回日本血管外科学会学術総会の会長を務めさせていただくことになりました。学術総会の会期は2027年5月26日(水)〜28日(金)、会場はオークラ東京で開催する予定です。
私は12年間米国で血管外科医として活動しましたが、そこで体験したものはまさに外科学の王道として院内・社会から尊敬され、羨望の眼差しをあびる立場でした。約160の医科大学全てに血管外科教授が存在し、その地位は確たるものでした。2006年に帰国し慈恵医大血管外科教授に就任しましたが、それは全国80医科大学の中で例外的な5つの一つに過ぎませんでした。その違いに愕然としつつも、血管外科の社会的意義と奥深さを確信していましたので、「I have a dream、それはある日、血管外科が外科学の王道となり血管外科医が尊敬されること」と願うようになりました。
2006年の帰国時に日本で大動脈瘤ステントグラフトが薬事承認を受け、またNHKプロフェッショナル仕事の流儀で放送された「命を賭けて命を繋ぐ:血管外科医 大木隆生」が大きな反響を受け、「血管病」という言葉がメディアを通じて世間に浸透し、若手血管外科志望者が増え、各地で血管外科手術件数は大きく伸びました。血管外科医である私が第123回日本外科学会会頭に選出されたことは、その象徴と言っても過言ではありません。また日本が未曾有の超高齢化社会に突入する中で、全身の血管病を扱う血管外科は外科学のメインストリームにならなければなりませんが、その地位を確立するためにはこれからも歩みを続けなければなりません。こうした想いを込めて、慈恵医大で主催する第55回日本血管外科学会学術総会のテーマは「Make Vascular Surgery Great」としました。
本学会は会員の皆さまによる徹底討論に主眼を置き、日本語での発表、討論を原則とします。また2027年に私は海外血管外科学会をまとめる組織であるWorld Federation of Vascular Societies(WFVS)の会長を拝命することから、学会中にWFVSセッションを開催し、海外との連携、討論の場も設定します。さらに、本学会初となるライブサージェリーも企画しています。またデジタル時代に合わせて発表スライドは事前アップロード制とし、会場内にPCセンターを置かずに学会運営もスリム化を図ります。
オークラ東京(旧ホテルオークラ)は2020年にリニューアルした東京No. 1ホテルですが、これまで日本レベルの学会が開催されたことはありません。この会場で、「Make Vascular Surgery Great」のキャッチコピーにふさわしく、慈恵医大らしく賑やかな学会を開催したいと思います。
会員の皆さまにおかれましては、日本中の血管外科医が集う場での成果をより大きなものとし、また慈恵医大に着任して22年目となる大木隆生の有終の美を飾る学術総会として有意義で思い出深い学会となるように、ご協力を賜りたく存じます。よろしくお願い申し上げます。
2026年7月吉日
第55回 日本血管外科学会学術総会
会長 大木 隆生
東京慈恵会医科大学 外科学講座 血管外科