一般社団法人 末梢血行再建研究会 LIBERAL Research Association for Lower Limb Artery Revascularization

研究活動

研究名は大腿膝窩動脈病変に対する血管内治療の治療成績の比較 (X-CALC研究)

目的と意義

本研究の目的は、前述の対象4つの臨床研究の参加者の治療後2年間の情報を用いてFPA病変に対する各デバイスの2年治療成績を比較検討することである。本研究の実施により、FPA病変に対する治療戦略を科学的に見直すことができる。また、各デバイス間の治療成績比較に対する交互作用因子を探索することで、どのような石灰化有する症例が各治療の恩恵をより大きく被っているのかが明らかとなり、効果的なFPA病変管理戦略を見出せる可能性がある。本研究の実施は公衆衛生の向上に特に資するものと考える。

背景

症候性下肢動脈疾患 (LEAD: lower extremity artery disease)の主病変は、大腿膝窩動脈 (FPA: femoropopliteal Artery)領域に局在することが多い。一般的に症候性LEADに対しては、薬物・運動療法が第一選択治療であるが、治療抵抗性症例に対しては血行再建術が検討される。FPA病変に対する血行再建手法として近年血管内治療 (EVT: endovascular therapy)が広く用いられている。しかしながら、その初期・遠隔期成績はいまだ十分とは言えない (1)。現在、FPA病変に対するEVTの治療戦略として、薬剤溶出性バルーン (DCB: drug-coated balloon)と薬剤溶出性ステント (DES: drug-eluting stent)、カバードステント(CS: Covered Stent)そして編み込み型ナイチノールステント(IWS: Interwoven Nitinol Stent)が使用されることが多いが、どの治療デバイスが最も適しているかの結論はいまだ出ておらず、その選択は術者判断による。
これまで我々は、DCB、DES、CS、IWSそれぞれのデバイスに関して、実臨床における治療成績を明らかにする目的で、個別に前向き観察研究を実施してきた。具体的には、1.DCBの観察研究として「大腿膝窩動脈病変を有する症候性閉塞性動脈硬化症患者に対する薬剤溶出性バルーンを用いた末梢血管内治療に関する多施設前向き研究(2)」(POPCORN: PrOsPective multiCenter registry Of dRug-coated ballooN for femoropopliteal disease) を、2.DESの観察研究として「大腿膝窩動脈病変を有する閉塞性動脈硬化症患者に対するパクリタキセル薬剤溶出型末梢ステントを用いた血管内治療に関する多施設・前向き研究(3)」(CAPSICUM: Contemporary outcomes After Paclitaxel-eluting peripheral Stent implantation for symptomatic lower limb IsChemia with sUperficial feMoral or proximal popliteal lesion) を、3.CSの観察研究として「大腿膝窩動脈病変を有する閉塞性動脈硬化症患者に対する血管内超音波併用下でのステントグラフトを用いた血管内治療の安全性と有効性に関する多施設・前向き研究(4)」(VANQUISH: ViabAhn steNt graft placement for superficial femoral artery disease reQUIring endovaScular tHerapy)を、そして、4.IWSの観察研究として「石灰化を伴う浅大腿動脈病変に対する編み込み型ナイチノールステントを用いた血管内治療の実態調査」(BURDOCK: The best endovascular therapy for calcified femoropopliteal artery disease with interwoven nitinol stent backup strategy) を実施してきた。これらの4つの臨床研究のうち、POPCORN, CAPSICUM, BURDOCKについては治療後2年間の情報の収集が完了している。またVANQUISH研究は1年間の観察研究であるが、登録時からすでに2年以上が経過している。これらの4つの臨床研究の情報を統合することにより、各デバイスの治療成績を比較検討することが可能である。

研究デザイン

多施設後ろ向き観察研究

実施期間

研究機関の長の許可日~2027年4月30日

予定症例数

4326名

研究の実施体制

研究代表機関および研究代表者

藤原 昌彦

医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院 循環器内科

データセンター

中村 大輔
大阪大学 大学院医学系研究科 循環器内科学

統計解析責任者

髙原 充佳
大阪大学 大学院医学系研究科 糖尿病病態医療学寄附講座

研究共同機関および研究責任者

櫛引 基
青森県立中央病院 循環器内科
新谷 嘉章
上尾中央総合病院 循環器内科
早川 直樹
国保旭中央病院 循環器内科
太田 洋
板橋中央総合病院 循環器内科
市橋 敬
一宮西病院 循環器内科
山本 義人
いわき市医療センター 循環器内科
川本 健治
岩国医療センター 循環器内科
伊藤 孝仁
王子総合病院 循環器内科
深井 邦剛
近江八幡市立総合医療センター 循環器内科
河合 努
大阪急性期・総合医療センター 心臓内科
小林 洋平
大阪赤十字病院 循環器内科
上月 周
大阪府済生会中津病院 循環器内科
中村 仁
大阪ろうさい病院 循環器内科
末永 明啓
大津赤十字病院 循環器内科
戸田 洋伸
岡山大学病院 循環器内科
仲里 淳
沖縄県立中部病院 循環器内科
杉原 充
福岡大学病院 循環器内科
松岡 庸一郎
加古川中央市民病院 循環器内科
金子 喜仁
春日部中央総合病院 循環器科
土谷 武嗣
金沢医科大学病院 心血管カテーテル治療科
長田 公祐
河北総合病院 循環器内科
徳山 榮男
かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科
畑 陽介
関西ろうさい病院 循環器内科
山浦 誠
中部国際医療センター 循環器内科
藤原 昌彦
岸和田徳洲会病院 循環器科
小島 帯
岐阜県総合医療センター 循環器内科
尾野 亘
京都大学医学部附属病院 循環器内科
椿本 恵則
京都第二赤十字病院 循環器内科
上村 孝史
熊本総合病院 循環器内科
土井 英樹
熊本労災病院 循環器内科
田中 裕之
倉敷中央病院 循環器内科
吉賀 巧
久留米大学病院 循環器病センター
鳥羽 敬義
神戸大学医学部附属病院 循環器内科
曽我 芳光
小倉記念病院 循環器内科
田口 英詞
済生会熊本病院 循環器内科
毛利 晋輔
済生会横浜市東部病院 循環器内科
佐々木 伸也
坂総合病院 循環器科
住吉 晃典
桜橋渡辺病院 循環器内科
原口 拓也
札幌心臓血管クリニック 循環器内科
辛島 詠士
下関市立市民病院 循環器内科
岡井 巌
順天堂大学医学部附属順天堂医院 循環器内科
飛田 一樹
湘南鎌倉総合病院 循環器科
檀浦 裕
市立札幌病院 循環器内科
新垣 正美
市立函館病院 心臓血管外科
原口 和樹
新古賀病院 循環器内科
加藤 太門
信州大学医学部附属病院 循環器内科
川元 隆弘
心臓病センター榊原病院 循環器内科
朴澤 耕治
新東京病院 心臓内科
堀江 和紀
仙台厚生病院 循環器内科
山内 靖隆
総合高津中央病院 循環器内科・心臓血管センター
中野 雅嗣
総合東京病院 循環器内科
松久 誠治
高井病院 循環器内科
關 秀一
近森病院 循環器内科
相原 英明
筑波メディカルセンター 循環器内科
榎本 操一郎
天理よろづ相談所病院 循環器内科
竹井 達郎
天陽会中央病院 循環器内科
鳥居 翔
東海大学医学部附属病院 循環器内科
村田 直隆
東京医科大学病院 循環器内科
中尾 優
東京女子医科大学病院 循環器内科
鈴木 健之
東京都済生会中央病院 循環器内科
仲間 達也
東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科
宇都宮 誠
東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科
弓場 健一郎
徳島赤十字病院 循環器内科
丹 通直
時計台記念病院 循環器内科
新垣 朋弘
友愛医療センター 循環器内科
平野 敬典
豊橋ハートセンター 循環器内科
宮下 裕介
長野赤十字病院 循環器内科
持留 智昭
長野市民病院 循環器内科
徳田 尊洋
名古屋ハートセンター 循環器内科
市橋 成夫
奈良県立医科大学 放射線診断・IVR学講座
近江 晃樹
日本海総合病院 循環器内科
赤堀 宏州
兵庫医科大学病院 循環器内科
末松 延裕
福岡県済生会福岡総合病院 循環器内科
荒井 靖典
福山市民病院 循環器内科
谷口 将人
福山循環器病院 循環器内科
岩田 曜
船橋市立医療センター 循環器内科
近藤 裕樹
松波総合病院 循環器内科
山岡 輝年
松山赤十字病院 血管外科
緒方 健二
宮崎市郡医師会病院 循環器内科
川﨑 大三
森之宮病院 循環器内科
渡部 徹也
八尾市立病院 循環器内科
大道寺 飛雄馬
山形県立中央病院 循環器内科
高橋 大
山形大学医学部附属病院 先進心血管治療学講座
土井尻 達紀
大和成和病院 循環器内科
柳内 隆
洛和会音羽病院 心臓内科・不整脈科

参考文献

  •   1)  Fujihara M, Kozuki A, Tsubakimoto Y, et al. Lumen Gain After Endovascular Therapy in Calcified Superficial Femoral Artery Occlusive Disease Assessed by Intravascular Ultrasound (CODE Study). J Endovasc Ther. 2019;26(3):322-330.
  •   2)  Soga Y, Takahara M, Iida O, et al. Vessel Patency and Associated Factors of Drug-Coated Balloon for Femoropopliteal Lesion. J Am Heart Assoc. 2023;12(1):e025677. doi:10.1161/JAHA.122.025677
  •   3)  Iida O, Takahara M, Soga Y, et al. 1-Year Outcomes of Fluoropolymer-Based Drug-Eluting Stent in Femoropopliteal Practice: Predictors of Restenosis and Aneurysmal Degeneration. JACC Cardiovasc Interv. 2022;15(6):630-638. doi:10.1016/j.jcin.2022.01.019
  •   3)  Iida O, Takahara M, Soga Y, et al. One-Year Outcomes of Heparin-Bonded Stent-Graft Therapy for Real-World Femoropopliteal Lesions and the Association of Patency With the Prothrombotic State Based on the Prospective, Observational, Multicenter Viabahn Stent-Graft Placement for Femoropopliteal Diseases Requiring Endovascular Therapy (VANQUISH) Study. J Endovasc Ther. 2021;28(1):123-131.

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